殺菌作用を期待して始められた高圧研究は、食品に対して圧力が関与する様々な効果を明らかにしてきました。物質の状態変換因子である圧力は熱と共に酵素の働きを制御することで食品の組成を変換(Hi-PIT効果)し、「食品を医薬品へと変換する因子」として新しく再評価できるのです。
そして、これまで不可能であったことを可能にし、 おいしい宇宙食やオーダーメイド医療食、食感や栄養価が改良された高齢者食の開発や、更には非加熱血清や非加熱製剤の加工など医薬品の分野にまで利用が拡大することで高圧技術は Quality of Life(QOL:質の高い生活)の向上に寄与する必須の技術となるのです。
宇宙飛行士が、宇宙空間において健康であり続けるために、宇宙空間での“食”は絶対に安全なものでなければいけません。
高圧処理を用いれば、安全でかつ地上同様においしい宇宙食を提供することができます。
宇宙空間にあっても、好きなものを食べられることで、栄養のみならず精神的な安らぎを得ることができるのです。
高圧処理を効果的に利用することで、種々の症状に対応した医療食を開発することができます。
おなかいっぱい低糖食 食品に水を多く含ませて加工することで、少量でも満腹になり、糖分の摂取も少なくて済みます。 | |
煎じなくともβ-グルカン 人の腸内では消化できないβ-グルカンの高次構造を分解抽出します。 | |
たっぷりダシ 短時間で高濃度のダシを抽出し、その風味で低塩・低脂肪の食事を可能にします。 | |
丸のまま血液さらさら成分 植物中の血液さらさら成分「アリシン」を、酵素反応を促進させて、生成させます。 | |
低アレルゲン卵 低アレルゲン牛乳 卵、牛乳のアレルゲン性のあるタンパク質を分解します。 |
高圧処理を用いることで、今までに無かった高齢者食を提供し、在宅死を可能にするための食の援助、食べることが癒しになる医療福祉が可能となるのです。
献血者の1万人に1人がなんらかのウィルスに侵されていますが、加熱や薬品で血液中のウィルスを不活化することは不可能です。そこで、高圧処理により血液にダメージを与えず、ウィルスを不活化することが出来たら、安全・安心な輸血が可能となるのです。
また、腎臓病患者は人工透析によって血液から尿成分をこしとりますが、エイズウィルスに侵された患者の血液に高圧処理を施して、ウィルスを不活化することにより、患者を救える可能性があります。
現在、薬品を加工する際には、ウィルスを不活化するために加熱処理が行われていますが、加熱による成分の分解、酸化による毒性の発現などの可能性も無いとは言えません。
高圧処理により、加熱せずにウィルスを不活化することが出来たら、まさに安全・安心な薬品といえるでしょう。